埼玉県のほぼ中央、豊かな緑と水に恵まれた北本市に、北里大学メディカルセンター(KMC)がある。1989年、北里研究所の創立75周年を記念して開院されたKMCは、ベッド数372床。地域の医師会とネットワークを組み、地域医療の中核を担うとともに、多くの緑を配し、院内各所に多数の絵画を展示したり市民コンサートを定例開催したりするなど、来院者に癒しをもたらす「豊かな緑と絵のある病院」として、地域の人々に親しまれている。

そのKMCと同じ敷地内に1994年、北里看護専門学校(現・北里大学看護専門学校)が開設された。臨床実習の場にも恵まれた教育環境の中、同校からは新時代を担う多くの看護師が巣立っている。

その一人である吉田恵は、KMCでさまざまな部署をローテーションしながら経験を重ね、3年目の現在は手術室に勤務。今の仕事について「部署が変われば必要な知識も技術も変わってくるので大変です。でも学んだことを少しずつ活かして行きたい」と前向きである。吉田の3年先輩にあたる荒巻和美は、「看護師は患者さんに接する時間が長く、身近な存在。ご家族ともお話しする機会が多いです」と、コミュニケーションの大切さを実感している。さらに同校の1回生で看護師長を務める志摩幸枝は、「私たちは人の命というかけがえのないものを預かっています。看護師は患者さんに頼られる存在にならなくては。評価はすべて、患者さんにあるんです」

KMCを含め、北里大学には4つの附属病院があり、いずれの病院でも「チーム医療」に注力している。チーム医療の実践について、病院と患者の接点に立つ3名はどう感じているのだろうか。

看護師の中でリーダー役を担う機会が増えたという荒巻は、「一人の患者さんにはいろいろなスタッフが関わります。周囲に目を配り、カンファレンスでは積極的に話していく大切さを強く感じます。先輩に相談するときも、常に自分の意見を持たなくては」と語る。毎日が緊張の連続だという吉田も、「自分のスキルが上がれば、手術時間の短縮にも貢献できるはず。『参加している』という意識を忘れずに」と胸をはる。そして志摩は、「学生時代からの仲間も多く、連帯感は強いですね。そして他の職種との恊働も大切。患者さんのためにスタッフが見ている先は、みんな同じです」

最先端の専門知識や技術を備えたスタッフの多彩さと、そのスタッフの間で脈々と受け継がれていく想い。「専門的で大規模だけど、何だか身近な存在。KMCは『ちょっと大きなクリニック』ですね」と志摩は言う。患者とその家族、地域に信頼感・安心感を届けようとする真心の医療がそこにはある。

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