投稿日2017年03月24日

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カメレオンのような能力

今回はラボにいるムラソイ Sebastes pachycephalusを例に、魚の体色変化についてお話しします。

ムラソイはスズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属の魚。漢字では斑曹以、英語名では Spotbelly rockfish というように、腹部に斑紋が見られる。

魚は色素胞という、体の色を変えるのに関わる細胞を体の表面に持っています。色素胞の中には色素顆粒という色のついた粒のようなものがたくさん入っていて、色素顆粒の色によって黒色素胞、赤色素胞、黄色素胞に分けられます。色素顆粒が色素胞の中で広がったり縮まったりすることで、魚の全体の体色が変わって見えることになります。(色素顆粒を持たない白色素胞や虹色素胞もあります!)

色素顆粒の運動は環境の影響を強く受けます。一般的に、明るいところでは色素顆粒は色素胞の中心部に集まり、全体の体色も明るくなります。逆に暗いところでは色素顆粒は色素胞の全体に広がり、体色も暗くなります。周囲の色に体色をなるべく近づけて目立たないようにしているんですね。

ラボには2匹のムラソイがいます。1匹は水槽の掃除をしているときにお気に入りの暗い岩陰から出てしまったため、上記のような体色変化が起こっていると考えられます。

もう1匹はこちら!岩陰にいるときから真っ白な個体です。色素が欠如しているアルビノ個体かと思いきや・・・?

なんと、岩陰から出してやると黒い縞模様が現れたのです!このことから、この個体は体色変化を行うための色素を持っていることが分かります。問題なのは、なぜ暗いところで体色は白く、明るいところで黒くなったかということです。ストレスが原因かもと思いましたが、もう一匹は正常に体色変化し、いじめがあるようにも見えません。とすると、もともとこの個体の体質に異常があると考えた方が良いかもしれません。体色変化のための調節機構が狂っているのは受容器なのか、神経系なのか、それとも効果器なのか……?今後も楽しみな研究テーマが増えました。

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